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皆さんこんにちは!
株式会社田中空調設備、更新担当の富山です。
今回は、空調や換気設備の中でも縁の下の力持ちとして働いている「ダクト」のメンテナンスと定期点検の重要性についてお話しします。
普段私たちは空気の流れをあまり意識せずに暮らしていますが、その快適な空間を支えているのが、壁や天井の裏に張り巡らされたダクト配管です。冷暖房、換気、排煙など、あらゆる空気の“通り道”として機能しているこの設備は、実はとてもデリケートで、メンテナンスを怠るとさまざまな問題を引き起こします。
ダクトは建物の“呼吸器官”とも言える設備です。空気を吸い込み、運び、吐き出すという機能を担っており、空気の質や流れに直結しています。
しかしこのダクト、実際には天井裏や壁の中など見えない場所に設置されていることが多く、「気づいた時には手遅れ」なケースも少なくありません。
例えば以下のような問題が、メンテナンス不足のダクトで発生します:
空気の流れが滞り、部屋の中がムッとする
カビやダニ、ホコリが蓄積し、アレルギーや咳の原因に
ダクトの継ぎ目から空気が漏れ、空調の効きが悪くなる
音や振動が発生し、居住者や利用者が不快に感じる
防火設備が正常に作動せず、火災時の被害が拡大する恐れも
つまり、ダクトの劣化は**「空気の質の悪化」「光熱費の増加」「安全性の低下」**を招くことになりかねません。
ダクト内には、想像以上に多くのゴミや汚れが溜まります。ホコリ、花粉、油、粉塵、時にはネズミや昆虫の死骸まで…。
これらが蓄積すると、空気の流れを邪魔するだけでなく、悪臭やカビの原因にもなります。
特に飲食店、工場、病院、福祉施設では、一般住宅よりも空気中の汚れが多く、半年〜1年に一度の清掃が理想的です。
また、家庭でも「ペットがいる」「加湿器を多用する」「築年数が古い」などの条件が重なると、ダクト内のカビ発生リスクが高まります。
清掃の方法は、専用の回転ブラシやバキューム、場合によっては薬剤噴霧を併用し、徹底的に内部をリフレッシュさせます。
ダクトはパーツの集合体です。直管・エルボ・分岐・フレキシブルダクトなどが連結されており、その接合部は特に弱点です。
経年劣化や地震、施工不良などによって、シール材の剥がれや金具の緩みが起こると、空気が漏れて空調効率が落ちます。
空気が漏れ続けるとどうなるか?
エアコンが余計に稼働して電気代が増える
設備に無理がかかって故障リスクが高まる
温度ムラや風量不足で住み心地が悪化する
また、振動や風切り音が生じることも多く、音響トラブルの原因にもなります。
1年に1度は点検を行い、シール材の補修や締め直しを行うことで、ダクトの寿命を延ばすことができます。
火災時、ダクトが煙や炎の通り道になってしまうことを防ぐために設置されているのが、防火ダンパーです。
この装置がしっかり作動しないと、延焼や煙の拡散が広がり、建物全体の被害が深刻化します。
しかし、長年放置されたFDはサビ・ホコリ・グリスの劣化などで固着しやすく、いざという時に作動しないというケースが報告されています。
消防法では「年1回の作動確認」が義務化されていますが、実際に点検・潤滑・修繕までしっかり行われている現場は、まだ一部です。
万が一の火災時に人命と建物を守るためにも、ダンパー点検は決して後回しにできません。
✅ 空調効率を維持し、省エネ・節電につながる
✅ カビや異物を除去して、健康被害を防ぐ
✅ 突然の設備トラブルや火災リスクを予防
✅ 建物の資産価値を維持できる
✅ クレーム・苦情・行政指導を防げる
特に法人・商業施設・集合住宅では、トラブルが発生すると信用問題にもつながります。小さな手間を惜しまないことが、将来の安心に直結します。
私たちが空調の効いた快適な空間で生活できるのは、ダクトが正常に働いてくれているからです。
しかしその存在は見えない場所にあり、故障して初めてその重要性に気づくことも少なくありません。
だからこそ、日常的な点検と、定期的なプロによる清掃・整備が必要不可欠なのです。
次回もお楽しみに!
皆さんこんにちは!
株式会社田中空調設備、更新担当の富山です。
今回は、空調・換気システムの要とも言える「ダクト工事」におけるトラブル事例と、それに対する具体的な対策を詳しくご紹介します。
ダクト工事は、建物の中を快適に保つための“呼吸器官”のような存在です。しかし、一見見えない箇所であるがゆえに、設計・施工・メンテナンスのどこかで不備があると、目に見えない形でじわじわと不具合が広がっていきます。
トラブルが起こってからの修繕は大がかりになることも多く、初期段階の正確な設計と丁寧な施工が極めて重要です。
ある事務所ビルで、空調ダクトが各フロアへ配管されたにもかかわらず、「エアコンの効きが悪い」「風がほとんど来ない」といったクレームが多発。調査の結果、設計時の風量計算が甘く、主要ダクトが細すぎたことが判明しました。
設計段階でのCFD(流体解析)やシミュレーション不足
テナントレイアウトの変更に対して、風量再調整をしなかった
現場の都合でダクトサイズを変更したまま、調整不足で施工完了していた
施工前に空調負荷と風量を再計算し、シミュレーションツールを使って流れを事前確認
現場の制約に応じてダクトルートが変更された場合は、設計変更と構造補正を速やかに連携
施工後、各末端で風量測定を実施し、バランス調整(ダンパー制御など)を徹底
ワンポイント!
現場では「収まり優先」で小径に変更されがちですが、風速や静圧の関係から空調効率が著しく低下するケースも。設備図と現場寸法を“同時に確認”する文化が重要です。
某ビルの地下駐車場に設置された排煙ダクトで、火災訓練時に“煙が予想以上に拡散”してしまうというトラブルが発生。
点検の結果、複数のダクト接合部でシール材が適切に施工されておらず、空気漏れが多数確認されました。
コーキング材やシールテープの貼付忘れ、または規定未満の処理
ダクトの熱伸縮による経年劣化(特に天井裏や機械室まわり)
硬化や剥離したシーリング材が、風圧で飛散・破損していた
ダクトの接合時には規定のシール材(ネジ止め+コーキング)を併用
施工後に**エアリークテスト(気密試験)**を実施して漏れを可視化
点検時に接合部を触診・赤外線カメラ・煙テストで確認し、経年劣化を早期発見
ワンポイント!
見た目はきれいに仕上がっていても、**目に見えない「内部漏れ」**は意外と多く、これが原因で空調効率が5〜20%ダウンするケースも珍しくありません。
特に「冷暖房が効かない」と言われる建物の多くで、ダクト漏れが見落とされていることがあります。
【事例】天井ダクトを通じて「ゴーッ」「ヒューヒュー」という音が部屋に響く。
【対策】ダクト内面に吸音材を設置するか、風速を下げて気流音を抑える。
【事例】排煙用ダクトが天井裏で塞がっていたり、ダンパーが開閉しない。
【対策】排煙ダンパーの定期点検義務を遵守し、可動状況を半年ごとにチェック。
【事例】軽量天井に施工された軟質ダクトがたるみ、空気が正しく流れない。
【対策】サドル支持・バンド固定を強化し、1mピッチ以下の間隔で支持を徹底。
トラブルを防ぐには、何よりも設計・施工・点検の三位一体の体制づくりが必要不可欠です。
以下のチェックリストを元に、社内・協力業者との連携強化を図りましょう。
設計風量と計算が最新の建物レイアウトに基づいているか
ダクトサイズ、ルート、材質が現場制約に適応しているか
特殊条件(高温環境・排煙用途・消音要件)を満たしているか
接合部の締結状態、シール処理が図面通りか
支持金具や吊りボルトの強度・耐震仕様が適切か
断熱処理(特に冷媒配管周辺)が確実に行われているか
エアリーク試験または煙テストを実施しているか
風量・静圧測定でバランス調整されているか
メンテナンス口の確保や点検経路の整備がなされているか
ダクトは単なる配管ではなく、建物の空気の流れ・温度・快適性・安全性を担う極めて重要な設備です。
一見地味に思われがちですが、適切なダクト設計と丁寧な施工が、快適なオフィスや店舗、住宅を支えているのです。
次回もお楽しみに!